ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
2. STEMIに対するPCIの質の測定

クラス I
・primary PCI について,術者,患者背景,病変性状,使用デバイス,手技内容,合併症,治療結果,院内予後の抽出が可能な電磁的データベースを構築する.
 レベルC
・全国レベルのPCI データレジストリーに参加する. レベルC
 primary PCI による再灌流治療は,STEMI の初期治療において最も重要な位置を占める.安全かつ良質な心筋再灌流の達成には,再灌流までの時間短
縮に加えて,施設や術者に十分な治療実績のあることが望まれる847-849).ACCF/AHA/SCAI PCI ガイドラインでは,「施設」としては心臓外科を有し年間400
例を超えるPCI 実施(うちprimary PCI 年間36 例以上)を,また「術者」としては年間75 例以上のPCI 実施(うちprimary PCI 年間11 例以上)を理想的な
STEMI 治療の体制としている( クラス I308)

 わが国では日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)主導で,カテーテル治療の専門医や研修施設の認定がその治療実績などに基づいて進められ
ている850) が,これまでのところ治療実績が診療ガイドラインに反映されるに至っていない.現在進められている全国的なPCI レジストリー(J-PCI レジスト
リー/National  Clinical Database)の充実が,質の保証に根ざした施設,術者の技術(経験値)レベルの設定に重要な情報をもたらす可能性がある851).加え
て,患者,病変性状と使用デバイス(ステントタイプ,血栓吸引,末梢保護,補助循環など)に関する情報の集積が,より良質な再灌流を確立するための礎とな
ることも期待できる.
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