ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 

 房室ブロックは,STEMI に関連する不整脈の6~14 %に認められる.STEMI 経過中,房室ブロックの出現は心筋梗塞あるいは虚血の範囲と関連がある.房室ブロックは院内死亡の危険因子ではあるが,退院可能であった患者の長期予後にはそれほど影響しない.症候性房室ブロックの治療として,経皮ペーシングあるいはアトロピン投与が推奨される469). しかし,下壁梗塞発症早期に認める房室ブロックは,再灌流自体によりすみやかに洞調律に復することが多いとの報告がある470).第3 度(完全)房室ブロックでQRS 幅の広い補充調律を伴う場合には,アトロピンの効果は期待できないため,経皮ペーシングもしくはアドレナリン(2~10μg/ 分)もしくはドパミン(2~10μg/kg/ 分)の投与を考慮する.第3 度(完全)房室ブロックや高度房室ブロックは,症候の有無に関わらず,可及的すみやかな経静脈ペーシングが必要である.
4.3.3 房室ブロック
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