ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
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急性心筋梗塞の急性期では,PCI による再灌流治療にも関わらず,20~50 %の患者で“slow flow”あるいは“no flow”と呼ばれる現象が梗塞心筋で認められる.この所見は造影MRI では梗塞巣の中心部が造影されず,中心部に暗い部分が残る“microvascular obstruction( MO)”と呼ばれる.CMR では,この現象をperfusion MRI とLGEMRIで確認できる.MO はperfusion MRI で造影1~2 分後より長く遷延する非造影部と定義され,これはearly MO と呼ぶこともある
668)
.また,MO はLGE-MRI を用いて造影後10~15 分後まで残る非造影部を指すこともあり,この場合は,late MO あるいはpersistent MO と呼ばれている
668)
.MO はT2 画像あるいはT2*画像で,低信号を呈することから,心筋内の微小循環の破綻により生じた梗塞巣内への出血と考えられており,再灌流傷害によるとする報告もある
669,670)
.大きな梗塞に合併しやすく,7~8週後でも壁運動改善が認められない
671,672)
,心事故の発生が多い
673)
など,重症患者に認められることが多い.
9.5.3 microvascular obstruction
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VI. 入院後早期の管理
9. 梗塞サイズの評価
9.5 磁気共鳴画像( MRI)
9.5.3 microvascular obstruction