ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
9.5 磁気共鳴画像( MRI)
クラス IIa
・心機能および壁運動評価を目的としてシネMRI を行う. レベルC
・心筋梗塞巣描出を目的としてガドリニウムLGE-MRIを行う. レベルC
 急性心筋梗塞の心MR(I cardiac MRI:CMR)においては,シネMRI,T2強調画像,遅延造影MRI( late gadolinium MRI: LGE-MRI) などが用いられる.

 シネMRI は,造影剤を用いずに,右室,左室の局所壁運動,壁厚,収縮期壁肥厚率,心室容積,左心機能を定量的に,高い再現性を持って評価することが
できる643-647).壁運動評価は,心エコー法やシンチグラフィと同様に17 セグメントモデル617) を用いて,視覚的に評価する.壁厚の変化率(%thickening)や内
腔変化率(%radial shortening)で局所壁運動の定量的評価も可能である.2005 年の米国での合同ステートメントでは,シネMRI による,右室,左室容積,
右心機能,左心機能の評価は高い正確性と再現性のため“reference standard” とされている648)

 さらに,CMR では,種々の撮影法を用いて,心筋性状の特定や,これによる梗塞巣の有無,梗塞サイズが正確に算出できる.とくにT2 強調画像を用いて,
梗塞後の心筋浮腫が観察でき,さらにLGE-MRI により心筋壊死や線維化などの心筋の組織学的異常を特定できる.また,CMR の最大の利点は,放射線被
曝がないことである.
9.5.1 梗塞巣の特定とサイズの評価 9.5.2 心筋バイアビリティ 9.5.3 microvascular obstruction
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