ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
6. 疫学
 滋賀県高島町研究(1990~2001 年,男性100.7 名,女性35.7 名)53) や新潟県長岡市研究(1994~1996 年,男性41.9 名,女性5.3 名) 54) の結果もあわせると,わが国の心筋梗塞発症率は,年間10 万人あたり10~100 人程度と推定され,欧米諸国のデータと比較して低値である55)(フィンランド824 人,アメリカ508 人,フランス314 人,イタリア270 人).

 一方,米国のカリフォルニア州では生活習慣の改善により,急性心筋梗塞の発症率が1998 年から2008 年で10 万人あたり274 人から208 人に低下し,とくにSTEMI の発症率の低下が顕著である56).わが国では対照的に,1990年から1998 年の高島町研究では冠動脈疾患が増加傾向にあり,とくに80 歳以上の高齢者での虚血性心疾患の発症が増加している53).急性心筋梗塞登録研究であるMIYAGIAMI Registry では,1979 年から2008 年までの30 年間の登録患者数は増加し,とくに男性患者ではその変化が著明であった57)
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