ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
クラス I
・退院前に冠動脈造影が予定されず,リスクが高くない場合に,心筋虚血の有無と程度を評価する. レベルA
・急性期のカテーテル治療で残存病変のある場合,または不完全な血行再建の残る場合に,心筋虚血の有無と程度を評価する. レベルA
・運動負荷心電図による評価が困難な場合に,負荷心エコー法や負荷心筋シンチグラフィを行う. レベルB
クラス IIa
・退院後の心臓リハビリテーションの一環として運動処方を参考にする. レベルC
・冠動脈造影で指摘されている狭窄が虚血を生じるかを評価する. レベルC
クラス III
・以下の患者に運動負荷試験を行う.
①発症早期の再灌流療法未施行の患者. レベルC
②梗塞後不安定狭心症,治療不十分な心不全,致死性不整脈を有する患者. レベルC
1.1 運動負荷試験
 STEMI の回復期に運動負荷試験を行う目的は,①退院後の生活,運動能力の参考にする,②心臓リハビリテーションの際の運動能力の指標とする,③現在の内科治療の妥当性を評価する,④今後の心血管イベントの発生を予測することである689-691)

 慢性期に症候限界的に最大運動量まで負荷をかける方法と,比較的早期に運動量を限定して行う方法がある.メタ解析では,運動負荷試験の除外規定を有する患者は最も予後が不良であり692),また負荷による血圧低下や運動耐容能不良の患者,虚血性のST 変化を示す患者の予後も悪い687,693-695).完全左脚ブロック,早期再分極症候群,心肥大,ジゴキシン内服中,安静時心電図で1mm以上のST 偏位,心室ペーシングの患者では心電図の評価が困難であり,負荷心エコー法や負荷心筋シンチグラフィを選択する.
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