ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
目次
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1.2 心エコー法
クラス I
・梗塞後の左室機能の評価,僧帽弁逆流の有無などの評価.
レベルB
・梗塞部位の拡大,心室中隔穿孔,心室内血栓,心膜液貯留などの合併症の評価.
レベルC
・脚ブロックなどにより,心電図評価が困難な患者における負荷心エコー法.
レベルB
クラス IIa
・回復期における心エコー法を用いた治療効果の判定.
レベルC
・再灌流療法後に左室造影を行っていない場合の心エコー法.
レベルC
・薬剤負荷心エコー法による左室心筋バイアビリティの評価.
レベルA
・左室拡張障害などの心エコー指標を用いた予後の予測.
レベルB
ベッドサイドで非侵襲的に繰り返して施行可能な心エコー法は,左室機能だけでなく局所心機能の評価に優れている
696)
.心エコー法からは,左室収縮能の指標である左室駆出率
697,698)
や半定量的なwall motion score index
698,699)
,左室拡張能の指標である僧帽弁の流入血流パターンや組織Doppler法による左室拡張末期圧
700-705)
,および左房拡大,また僧帽弁閉鎖不全の合併
706-708)
, 肺高血圧症の合併709)などが評価でき,これらの指標はSTEMI の予後予測に有用とされている
710-713)
.
負荷心エコー法には運動負荷と薬物負荷の2 種類がある.薬物負荷試験はおもに運動負荷試験ができない患者を対象に行われ,一般的に行われている負荷はドブタミン負荷心エコー法である.陰性の場合は予後良好であり
714)
,ドブタミン負荷後も壁運動が悪い場合には予後不良とされている
715)
. またドブタミン負荷心エコー法は, 核医学検査と比較して残存心筋の検出における特異度は高いとされている
716)
.
発症後,比較的早期に行う薬剤負荷心エコー法の有用性も報告されている
717,718)
.メタ解析による左室収縮障害例へのドブタミン負荷心エコー法による左室収縮障害同定と冠血行再建の有用性が報告されている
719)
.
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VII. 回復期および退院後の患者管理
1. 退院時のリスクの層別化
1.2 心エコー法
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