ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 

 わが国のSTEMI 患者に対する心臓リハビリテーションの有効性に関するエビデンスとして,長期生命予後に関するものはないが,下肢筋力,運動耐容能,
冠危険因子,QOL が改善すると報告されている779-785).とくに,再灌流が成功し心機能良好の若年低リスク患者では,冠危険因子多重(3 個以上)保有者が
約半数(49 %)を占めるものの,外来通院型心臓リハビリテーションへの積極的参加により,運動耐容能と冠危険因子プロフィールの改善が得られると報告さ
れている785)

 実施状況に関して1996~1998 年に実施された多施設調査では,STEMI 患者の回復期心臓リハビリテーション参加率は全国推計で5~12 %にすぎないと
報告された786).2004 年787) および2009 年788) に日本循環器学会認定循環器専門医研修施設を対象に実施された全国実態調査の結果では,退院後の外
来通院型心臓リハビリテーション実施率は9 %から21 %へ増加傾向であることが示されたが,依然としてPCI の普及に比べて心臓リハビリテーションの普及
がきわめて遅れている.またガイドライン770,772,780,789) で推奨されている患者教育プログラム,個別的運動処方,呼気ガス分析による運動耐容能評価などの
実施率も低率であり,心臓リハビリテーション実施施設の増加とともにプログラムの内容についても質の向上を図る必要がある790,791)
2.1.2 わが国の状況
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