ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
STEMI 患者に対する運動負荷試験は,①リスク層別化と予後予測,②社会復帰,復職,心臓リハビリテーションのための運動耐容能評価と運動処方,③
治療の妥当性や効果の評価,に関する情報を得るうえで有用である369,795).
ただし,安全性に関して,STEMI 後の運動負荷試験をいつから開始してよいかについては議論がある795).発症3 日目に実施しても安全性に問題はなかっ
たとの報告796)があるが,早期運動負荷試験の安全性と有用性が未確立であるため,ACC/AHA のガイドライン795) では亜最大負荷試験は発症4 日目以
降,症候限界性負荷試験は14 日目以降に実施するとされている.わが国の多施設調査では,冠動脈ステントを留置した患者では,亜最大負荷試験は発症
4~8 日目,最大負荷試験は発症14 日目から施行しても問題はなかったと報告されている797).
通常,発症後5~6 日目に,回復期心臓リハビリテーションプログラムにおけるエントリーテストを実施する(図11).エントリーテストは12 誘導心電図監視下
の漸増式(トレッドミルまたはエルゴメータ)運動負荷試験によることが望ましく,この際の運動終点は安全性を考慮して,予測最大心拍数の70~75 %また
はBorg 指数6~20 点の15 点までの亜最大負荷とする780,789).回復期心臓リハビリテーションプログラムの開始約1 週間後(すなわち心筋梗塞発症約2~4
週間後)および一定期間後(通常,約3か月後)に症候限界性(最大負荷)運動負荷試験を実施して,運動耐容能を評価し運動処方を決定することが推奨され
る780,789,795).