ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
回復期心臓リハビリ開始
心臓リハビリ開始時歩行テスト、医師面接
病棟で歩行練習 200m歩行試験
トイレ排泄負荷(約50m歩行)
圧迫帯除去後、室内排便負荷
心筋梗塞発症、緊急カテーテル治療
6〜7日目 5〜6日目 5日目 4日目 3日目 PCI後1日目
終了時医師面接
運動耐容能評価
冠危険因子評価
退院時医師面接
運動耐容能評価
冠危険因子評価
患者教育プログラム
(病気,服薬,食事,運動などに関して多職種が実施)
心臓リハビリ室で監視下運動療法(歩行,自転車こぎ)
外来通院リハビリ(週1~3 回)(エアロビクス体操,自転車こぎ)
在宅運動療法(週3~4 回)(運動処方に基づく運動)
維持期在宅リハビリ
回復期心臓リハビリ終了
退院
14日目
3〜5か月後
入院中リハビリ(毎日)


2.3.2 運動負荷試験
クラス IIa
・発症4 日目以降に,予後予測,運動処方,治療評価のために亜最大負荷試験を実施する. レベルB
・発症14 日目以降に,予後予測,運動処方,治療評価,心臓リハビリテーションのために症候限界性負荷試験を実施する. レベルB
 STEMI 患者に対する運動負荷試験は,①リスク層別化と予後予測,②社会復帰,復職,心臓リハビリテーションのための運動耐容能評価と運動処方,③
治療の妥当性や効果の評価,に関する情報を得るうえで有用である369,795)

 ただし,安全性に関して,STEMI 後の運動負荷試験をいつから開始してよいかについては議論がある795).発症3 日目に実施しても安全性に問題はなかっ
たとの報告796)があるが,早期運動負荷試験の安全性と有用性が未確立であるため,ACC/AHA のガイドライン795) では亜最大負荷試験は発症4 日目以
降,症候限界性負荷試験は14 日目以降に実施するとされている.わが国の多施設調査では,冠動脈ステントを留置した患者では,亜最大負荷試験は発症
4~8 日目,最大負荷試験は発症14 日目から施行しても問題はなかったと報告されている797)

 通常,発症後5~6 日目に,回復期心臓リハビリテーションプログラムにおけるエントリーテストを実施する(図11).エントリーテストは12 誘導心電図監視下
の漸増式(トレッドミルまたはエルゴメータ)運動負荷試験によることが望ましく,この際の運動終点は安全性を考慮して,予測最大心拍数の70~75 %また
はBorg 指数6~20 点の15 点までの亜最大負荷とする780,789).回復期心臓リハビリテーションプログラムの開始約1 週間後(すなわち心筋梗塞発症約2~4
週間後)および一定期間後(通常,約3か月後)に症候限界性(最大負荷)運動負荷試験を実施して,運動耐容能を評価し運動処方を決定することが推奨され
780,789,795)
 
図11 急性心筋梗塞急性期および回復期心臓リハビリテーションプログラムの例
急性期再灌流療法が成功し,Killip I 型で合併症がなく,CK 最高値≧1500 U/L の場合,14 日間で退院とする.
第4 日目に病棟で200m 歩行負荷試験を実施し,合格なら5~7 日目以降,心臓リハビリテーション( リハビリ) 室での
回復期心臓リハビリテーションプログラムに参加する.退院後は外来通院型監視下運動療法と在宅運動療法を併用する.
心臓リハビリ開始約1 週間後と3 か月後に,心肺運動負荷試験および血液検査により,運動耐容能,冠危険因子を評価し,
運動処方を決定する.
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