ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
クラス I
・肺うっ血や動脈血酸素飽和度低下(94%未満)を認める患者に対する投与. レベルB
クラス IIa
・すべての患者に対する来院後6 時間の投与. レベルC
3.1 酸素
 酸素投与により虚血心筋傷害が軽減される可能性が報告されており158),また合併症のない心筋梗塞患者でも初期には換気血流不均衡や肺の液体貯留などが原因で軽度の低酸素状態にある場合があることから159),緊急治療開始から最初の6 時間は全例で酸素投与が勧められる.通常は経鼻カニューレまたはフェイスマスクにより100 %酸素を2~5 L/ 分で開始する.重篤な慢性閉塞性肺疾患の患者では,酸素投与によりCO2 ナルコーシスをきたす可能性があり,低流量から慎重に投与する.また,高度の肺うっ血や肺水腫,機械的合併症により,低酸素血症が高度な場合は気管挿管を行い人工呼吸管理とする.非侵襲的陽圧換気療法は心原性急性肺水腫に対する有効性の報告を認めるが,急性心筋梗塞に対しての安全性と有効性について一定した見解は得られていない.
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