ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
クラス I
・硝酸薬使用後にも胸部症状が持続する場合の塩酸モルヒネ投与. レベルC
3.3 鎮痛薬
 胸痛の持続は心筋酸素消費量を増加させ梗塞巣の拡大や不整脈を誘発するため,鎮痛,鎮静はすみやかに行わなければならない.再灌流療法により早期に良好な再灌流が得られれば,胸痛はすみやかに軽減,消失する.硝酸薬使用にもかかわらず持続する疼痛には塩酸モルヒネが有効である.また,塩酸モルヒネは血管拡張薬で,肺うっ血にも有効であるが,循環血液量が減少している可能性のある患者には投与すべきでない.血圧低下をきたした場合には,下肢を挙上し輸液負荷を行うが,肺うっ血の増悪に注意する.塩酸モルヒネは2~4 mg を静脈内投与し,効果が不十分であれば5~15 分ごとに2~8 mg ずつ追加投与していくが,呼吸状態や血圧変動や嘔吐などの副作用に注意する.胸部症状にはブプレノルフィン(0.1~0.2 mg)や鎮静目的でジアゼパム(2.5~5.0 mg)の静脈内投与も有用であるが,呼吸抑制に注意する.
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