ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
クラス I
・PCI を予定している患者ですでに服用されているチエノピリジン系薬剤の継続投与. レベルA
・PCI を予定している患者でチエノピリジン系薬剤が投与されていない症例のできるだけ早い段階でクロピドグレルloading dose(300mg)投与. レベルA
・アスピリンの使用が困難な患者でのチエノピリジン系薬剤の投与. レベルB
3.5 チエノピリジン系薬剤
 PCI を予定している患者では,冠動脈ステント留置を行うことが予想されるため,ステント血栓症の予防目的でアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の2 剤併用療法が推奨される.チエノピリジン系薬剤でクロピドグレルはチクロピジンよりも副作用が少なく,初期負荷投与(loading dose)300 mg により数時間後からの効果発現が期待できる172,173).しかし,クロピドグレルの効果は個人差が大きく,より早期から確実な効果を期待する際には600 mg を用いる場合もある.チエノピリジン系薬剤未使用患者に対してチクロピジンの初期負荷投与に対する効果と安全性のデータはない174).血栓溶解療法を行う患者や,さらに再灌流療法を予定していない患者にも,アスピリンに加えクロピドグレル75 mg/ 日の投与は推奨されているが85,175,176),75 歳以上の患者にはクロピドグレル初期負荷投与の適応について明らかでない.
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