ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 

 STEMI 後の重症僧帽弁閉鎖不全で心原性ショックを伴っている場合,予後は不良である.SHOCK Registry によれば,重症僧帽弁閉鎖不全でショックを伴っている患者の入院死亡率は55 %であり,外科治療を行った場合の死亡率が40 %であるのに対し,内科治療のみでは71 %であった519)

 後乳頭筋梗塞に伴う重症僧帽弁閉鎖不全では,梗塞範囲はむしろ小さい場合が多く,一般的に左室機能は保たれ,過収縮を示す.下壁梗塞に肺水腫や心原性ショックを合併した場合には,急性の僧帽弁閉鎖不全と乳頭筋断裂の可能性を念頭に置くべきである.
6.1.1 僧帽弁閉鎖不全(乳頭筋断裂)
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