ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
次へ

 STEMI 後の左室瘤は,左前下行枝の完全閉塞に伴う広範な梗塞により,前壁に発生することが多い.臨床所見としては,狭心症,心不全,血栓塞栓症,心室不整脈が認められる.血栓溶解療法を行って梗塞責任血管の再疎通が得られた患者は,得られなかった患者に比べて有意に左室瘤を形成する頻度が減少することが報告されており(7.2 %対18.8 %)532) ,PCI を含めた早期再灌流がその予防に重要である.

 左室内血栓は血栓塞栓症の原因として重要である.広範前壁梗塞に合併しやすく,心尖部の無収縮あるいは奇異性収縮部に壁在血栓として認められる場合が多い.左室瘤では半数以上に壁在血栓が認められる.
6.1.4 左室瘤,左室内血栓