ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
クラス I
・心臓疾患(うっ血性心不全,心臓弁膜症,虚血性心疾患)および心膜疾患,または急性大動脈解離の徴候,症状のある患者で胸部X 線検査を行う. レベルC
クラス IIa
・肺疾患,胸膜疾患および縦隔疾患の徴候,症状のある患者で胸部X 線検査を行う. レベルC
2.5.1 胸部X 線写真
 胸部X 線写真は鑑別診断と重症度評価のうえで重要な検査である.心陰影の拡大,肺うっ血,肺水腫,胸水の有無を客観的に評価できる.胸部X 線写真だけで胸痛の鑑別が可能となる疾患は限られているが,肋骨疾患,気道疾患,肺・胸膜疾患,縦隔疾患,心臓および心膜疾患,肺・体血管疾患の形態的診断には有用である.緊急に診断治療が必要となる急性大動脈解離と急性肺血栓塞栓症では,胸部X 線写真で上縦隔陰影の拡大,二重陰影,大動脈壁内膜石灰化の偏位を認める場合には前者を,肺動脈の途切れ,遮断,区域性乏血が認められた場合には後者を疑い検査を進めるが,このような所見は必ずしも見られないことに注意する.また,仰臥位の正面胸部X 線像は立位正面胸部X線像と異なることに留意する.
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