ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 
クラス I
・STEMI を疑う胸部症状が出現した患者には,ただちに119 番通報し救急車を要請する. レベルB
・医師は,硝酸薬(舌下投与または舌下噴霧)を処方する際,硝酸薬の効果判定と無効時の対応を教育する.レベルB


 STEMI の主訴(CCU 収容時)は,81 %が胸痛(胸部不快感や絞扼感を含む),6 %が呼吸困難,4 %が意識障害である65).STEMI を疑うまたはSTEMI に移行しやすい高リスクの胸痛とは,安静でも20 分以上持続する胸痛,または今回の胸痛出現前2 日以内にも胸痛発作が出現し,その頻度や程度が増加するなどの性状を有する.以前は救急車要請までに5 分間隔で3 回まで硝酸薬の使用が容認されていたが,収容施設での治療までの時間短縮が死亡率や合併症率を有意に低下させることが示され66-68),ACC/AHA2004 ガイドライン以降は,硝酸薬の舌下は1 回だけで,5 分後にその効果が不十分(胸痛が改善しない,または増悪)な場合,救急車を要請すべきと改訂された.
1. 患者による症状の認識
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