ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
STEMI 総患者の14 %以上が,発症超早期に致死性不整脈(大多数が心室細動〈ventricular fibrillation:VF〉)を併発し死亡している.このVF 出現率は心
臓性院外心停止例の60 %を占める61).しかし,消防隊員,救急隊員が患者に接触し,自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)を装着
するまでに循環虚脱を目撃してから12 分前後を要する69).より迅速なAED による電気的除細動は生存率を有意に改善させることから(除細動が1 分遅れる
と生存率は7~10 %ずつ減少する),市民による迅速なAED の運用が必要である62).この間(AEDが届くまで),市民による迅速な119 番通報と迅速な心肺
蘇生法(cardiopulmonary resuscitation:CPR)を開始し,体循環,肺循環を維持させることが大切である.この市民によるCPR 手法は,わが国の大規模観
察研究において,胸骨圧迫だけのCPR が従来の口対口人工呼吸+胸骨圧迫CPR より優れているかまたは同程度であることが報告された70,71).これらの
報告をもとに,2010 年ILCOR のCoSTR とAHA,およびわが国のCPR ガイドラインでは,成人心停止患者のBLS(basic life support)は,市民による簡単な
胸骨圧迫だけのCPR が,推奨レベルでクラス Iとなった.
AED が届くまで,または救急隊が来るまでの市民による救助活動を図2 に,救急車を呼ぶ手順を図3 に示す.