ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)
Guidelines for the management of patients with ST-elevation acute myocardial infarction
(JCS 2013)
 STEMIの院内死亡率は,冠動脈疾患集中治療室(coronary care unit:CCU)の管理と再灌流療法の普及により7 %前後となった59).しかし,これらは
STEMI と診断し再灌流療法とCCU の管理を施行した施設での死亡率であり,この疾病の真の死亡率を示したものではない.わが国の急性心筋梗塞による
年齢調整死亡率(人口10 万対比)の年次比較においては,男性では2005 年は25.9,2010 年が20.4,女性ではそれぞれ11.5 と8.4 と,依然としてその死亡
率は高い.しかし,このなかには病院到着前の発症早期に心停止に陥る患者は含まれていない.病院前心停止に陥る患者は総STEMI 患者の14 %以上に
も達し60-62),STEMI の発症超早期の患者教育と病院前救護対策が重要な課題となる.最近の報告では63,64),再灌流療法の効果は従来のdoor-to-balloon
time と比べ,onset-to-device timeが転帰により関与すると報告されている.このため,onsetto-device time の短縮が求められ,発症から再灌流療法までの
時間短縮を目指した地域のSTEMI に対する包括的な取り組みが重要である.

III. 発症から病院まで

1. 患者による症状の認識 2. 病院到着前心停止 3. 救急医療体制 4. 医師による救急現場での胸痛対応 5. 救急車での搬送プロトコール 6. STEMI患者診療施設に求められる必要条件
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